ボルダリングで魔法をかけてもらった話

 なんのこっちゃ?というタイトルですけども、本当に魔法をかけてもらったような話があったんで勢いで綴っておくのです。

 とある垂壁の課題で、僕はスタートで苦しんでおりました。低いところからのシットスタート、足のホールドは大きく踏み込める形状。右足を踏み込みつつ、両手でスタートホールドを引き付けつつ、右手を伸ばして次のホールドを取る。取れない。届かないし、なかなか腰も浮かない。時々手は届くけど、しっかりと保持出来ない。進まない。

その時、後ろから見ていた方(僕よりも上手い方。僕は青課題を触ってますが、その方は2つ上の白課題を触ってます)が「右足は載せすぎず、トゥで踏み込んでみて」と声をかけてくれました。それで何か変わるのかな?と軽く思いつつ、実際にやってみると……

次のホールドが、あっさり取れました……!!!

この、あっさり具合と言ったらもう。えっ、なにこれ、あんなに重たかった身体が軽く浮く、手が伸びる、余裕で取れる。えーーーー今まで自分は何してたのっていうか、たったこれだけでこんなに違うのっていうか、見てて一発でよく分かるもんだねすごい貴方が神か。まるで魔法をかけられたような、そんな一言だったのです。



 しかし、魔法はこれだけじゃなかったのです。

 今度は前傾壁の課題。足は自由だけど、薄いカチや小さな悪いホールドで構成された課題です。青設定ということだけど、とてもとても進みません。僕だけじゃなく上で出てきたアドバイスをくれた方も、ほとんど変わらない進捗でした。3手目のカチまでは進む。なんとか次のハリボテについた薄いカチも取れなくもない。しかしその次の左の方にあるカチ(超小さいガバともいう?)が、どうにも手が出ない。手を出そうとすると一つ前のカチが切れてしまう。足を工夫して、出来るだけ安定するよう、大きなホールドに置いてみたり、左右で張れないか探してみたり。しかし全然ダメ。これもうどうしよう状態。

その時、ちょうど来店した方(更に上手い方。白~灰課題を触ってる、ベテランの方)が、じゃあちょっとやってみるか……と来店早々に挑んでくれました。3手目のカチ、4手目のカチ、そして次の問題のホールド……を取る時に、あるホールドに足を置きました。そのホールドは今まで誰も使ってなかった、上部が斜めになっていて薄めの、いかにも安定しなさそうな形状のホールド。そこに足を置き、難なく問題のホールドを取り、そのままクリアしていきました。え、いかに実力差が大きいとは言え、僕だけならまだしも他の上手い方でも苦戦してる課題を、難なくクリアしちゃいましたよ。これ何か秘密があるんじゃ、そうださっきのホールドに試しに足を置いてみようか……と試してみたら……

次のホールドが、あっさり取れました……!!!(本日二度目)

前述の垂壁スタートの足の件は、相当インパクトありました。が、こちらの件は、それ以上の衝撃が、感動がありました。たったこれだけ、たったこれだけで……まさに魔法……マジック……ファンタスティック……

 色々と思ったことはありました。そのホールドを選んだ戦術眼というか、引き出しの多さというか。我々は姿勢を安定させるためだけにホールドを探していましたが、その方は違ったんです。次のホールドをスムーズに取るためのホールドを見つけて、そこに足を置いたんです。動きの流れの中で、残るほうの手に自然に荷重がかかって安定し、かつ重心も無理なく移動&安定し、次のホールドを取る手が自然に伸びる、そういうホールドが、それだったんです。きっと、リーチや保持力などで多少の差はあるんでしょう。でも、僕も、上手い方も、もちろんその方も、そこに足を置くことで軽々と次のホールドが取れた。この3人はリーチも保持力も経験も全然違う3人です。それなのに、そのホールドと言ったら。まさに神の一手と言えるでしょう……



 書いてみるとなぁんだというか、よく分からない話だと思いますが、僕の受けたショックの大きさと言ったら、筆舌に尽くしがたくお察しいただく他ありません。ショックというか、本当に魔法、感動です。ボルダリングの奥深さを改めて思い知りましたし、なんて面白いんだろうと実感しました。もうボチボチいい歳の僕ですが、まだまだ知らない世界があって、新鮮な気持ちを味わえてるってのは、なんとも気持ちいいと思いませんか。ああ、この感動をもっと味わいたい……登りたい……

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