新作アニメ『うる星やつら』は是か非か

2023年2月13日月曜日

Animation

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僕は原作&旧作アニメ世代だ。その世代から見た感想と、現在の世代から見た感想とでは全然違うだろうし、その間にも幅広く世代があるわけで、様々な感想があって当然だと思う本作。

まず大前提として知っておきたいのが、本作は「旧作アニメのリメイク」ではなく、「原作から一部のエピソードを選んで再アニメ化」したものということ。これは公式サイト各種記事にも書かれている。従って、構成や脚本は旧作アニメとも原作とも異なって当然だということ。実際、観ていて「あれ、このキャラは説明なしで出てくるんだ」「ここの関係性のフォローは無し?」みたいなところが(10話程度まででも)散見されるのは、説明が不足しているのではなくて、あえてそうなっているということなんだろう。

そこから考えると、本作のターゲット視聴者は「原作を読んだことがある人」と考えられるので、旧作アニメ派や、現在の世代はあまり重視されていないんじゃないかと思う。更に言うと、本作のテンポ感は旧作とも現代のアニメーション作品とも異なっていて、言うならば「漫画的演出を活かした」もの。高橋留美子先生独特の描き文字やキャラのポーズや、描き文字を各キャラクターの担当声優に喋らせたりするあたりは、原作ファンが漫画を読んでいるかのような気分で最新技術で再アニメ化されたうる星やつらを楽しめるように出来ているんじゃないかと思う。少なくとも僕は楽しい。楽しいけれど、最新のアニメとは良くも悪くも一線を画していて、受け入れ難い人がいるというのも理解は出来る。

僕はうる星やつらが連載されていた同時期に連載されていた「めぞん一刻」だとか、短編集「るーみっくわーるど」も大好きで、まぁオッサンなんだと思うけれども、そのオッサンが安心して観ていられるように出来ているのが本作なんじゃないか。一方で、ボカロや歌い手文化にも(ネットに張り付いている人生+子どもたちの影響もあって)馴染みがあるので、OP曲やED曲は映像も含めて満足している。声優陣についても、旧作アニメの声優陣のテイストを活かしつつ最新の人気声優を惜しげもなく投入しており、このあたりは紛れもなく現代のアニメーション作品だ。特に主役を演じる神谷浩史氏や上原すみれ氏の演技は、本作を代表作と呼んでも差し支えない名演技の連続で、このあたりはもっともっと評価されてもいいと思っている。第5話「君待てども…」や、第10話「君去りし後」でのお二人の演技は、原作ファンならこみ上げてくるものがあるんじゃないだろうか。

とか言いつつ、まだ2クール目の途中である。今後どのように評価が変わってくるかは分からない。ただ、このご時世に(視聴者等からの評価を受ける前に)4クール制作することを決めているというのは、なかなか出来たことではない。「ドラえもん」「ちびまる子ちゃん」「コナン」「プリキュア」「ガンダム」等のように、「うる星やつら」という枠がお茶の間に割り込んでくることを期待したい。

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