「羽生くん」「沙羅ちゃん」と呼んでいるうちはeスポーツは根付かない

 それっぽいタイトルをつけて、色々調べて、整理した文章を書こうと思ったのだけども、考えるばかりで何も進まないまま1週間くらい過ぎてしまった。
とりあえず見出し(候補)だけ並べてみて、その後、だらだら打ちます。


一個人の勝手な想いを書いており、内容について裏付けはありません
事実と異なる点があれば断りなく訂正します


■1
「スポーツ」の定義
 日本:身体を動かす
 欧米:競技

日本のスポーツ→柔道、剣道など。精神修養、己のため
欧米のスポーツ→剣術、馬術、球技。勝敗や上手さや強さを競う

敗戦、武装放棄、戦う心を排除した文化の根付き

■2
歌手等のバックダンサーの地位
ショービジネス
アスリートを含んだ、プロフェッショナルへの敬意
お金を落とすこと
チップの存在

■3
任天堂
ゲームはパーソナルなもの
ゲームは(子どものもの、とは言わないが)遊び

コンテンツ(ビジネス)も重要だがプラットフォーム(ビジネス)も重要

■4
既存のプロゲーマー
「ゲームと金」
格闘ゲームしか食えていない
格闘ゲーム以外を見ていない

■5
ゲームコンテンツ
ゲームは自分だけで遊ぶもの(後ろの囲みは除く)
ネットワーク対応も増えたが、あくまで「匿名の誰か」

■6
「eスポーツ」普及を阻むもの
LoL(Riot)をはじめとした大ヒット作品
日本のゲームメーカーのビジネス状況
防波堤としてのJeSU

■7
日本におけるeスポーツの在り方
※追記しました


 そもそもこういった内容を書こうと思ったのは、例のJeSUとプロライセンス制度の件がきっかけではあるのだけど、あの話って元々の話(日本国内でeスポーツがビジネスやコンテンツとして根付かないのは何故か)からどんどん乖離していってるので、いやいや待ってよ、そもそもの認識を合わせておいたほうが良くない?って点です。

こちらに、景表法とゲーム大会の賞金、JeSUとプロライセンス制度について整理されています。これを読んだ上で議論すればよいのかというと、まだ足りないんじゃないかと思います。例えば、eスポーツって何?とか。これについてはJeSUの前身団体であるJeSPAのウェブサイトに記載があります。ほんの2年前なんですねーJeSPAが出来たの。

日本でもeスポーツなるものが無視出来なくなってきた理由として、海外ゲーム業界およびコミュニティでのeスポーツ(ゲーム性、大会、賞金、ショー要素、広告要素、ビジネスなど全般)の盛り上がりが半端ないからです。例えば賞金だけ見ても、軽く億を超えてます。

他のスポーツ等の大会で、億を超える賞金が出るものって、何がありますかね。賞金だけでなく、チームからの報酬や、スポンサー収入などひっくるめて、億を稼げるプレイヤーが沢山いるスポーツって、どれだけありますかね。NBA選手がeスポーツチームを買収した話がありましたが、同じNBAでも全然もらえてない人もいますし、世界中にリーグがあってプレイヤーが沢山いて視聴者もものすごく多いサッカーなんて、普通に働いたほうが稼げるレベルの収入しか得られてない選手も多いわけです。そこに綺羅星の如く現れたeスポーツとプレイヤーたち。広告も入れやすいし、まだ新しいスポーツだから報酬もそこまで高くなくてもいい(それでもすごい金額なのですが)。スポンサー側もおいしい業界なんじゃないですかね。

 海外でこれだけ盛り上がってるのに何故日本では、という話。ことゲームに関してはアメリカに勝るとも劣らない歴史とユーザー数があり、世界に冠たるハードウェアメーカーの任天堂やSONY(SEGAも入れておこう)を産み、数々のゲームメーカーを抱える国なのに。

漠然と思ったのは、ショービジネスやショーマンシップの位置付けや解釈の違い。アメリカ等では、秀でたパフォーマンスを持つ人に対して、年齢や性別関わらず「こいつスゲェ!」となるところ、日本では奥ゆかしいのか何なのか、大っぴらに敬意を表することをしない。なんでしょうね、古来そういった芸事は、殿様や貴族が自分たちで戯れとして興じるか、呼びつけた芸人に演じさせるものだったからでしょうか。大衆のものではなかったということ。江戸時代ぐらいから大衆も自分たちで楽しんだり観たりするようになったと思いますが、芸人を目下にみる風潮は、たとえ大衆であっても変わらなかったと思います。金を産むか否かは別問題ですよ。

スポーツが、そういった「興じる・観る」対象として成立してきたのは近代~現代だと思いますが、もともと武士から生まれた武道が重んじられる国、なかなかエンターテイメント化しなかったんじゃないかと思います。特に第二次世界大戦の敗戦によって、GHQから武装解除されたり争いを産むような組織や文化が排除された影響もあるんじゃないか、とさえ思います。

プロ野球なんかは戦前からありましたが、あれは従来はいわば代理戦争的なものだったんじゃないか。それが戦後になってエンターテイメント化された。その結果マスメディア等が力を持ってきて、全国に放送されるようになり、一気にスポーツのエンタメ化が進んだ。オリンピック等が報じられ中継されるようになると、日本伝統の判官贔屓性によって大衆がアスリートを「がんばってる・辛そうな・目下の存在」と認識し、応援するようになった。その結果が表題の「羽生くん」「沙羅ちゃん」です。そこには尊敬や敬意は存在しておらず、ただ「若い子どもの健気な姿を楽しむ」だけ。とてもじゃないけど、ダンサーをはじめとしたアーティストやアスリートの地位が確立し向上するような土壌は無い。

近年になってビデオゲームが生まれ、多くの人に、それこそ大人から子どもまで楽しまれるようになったけれども、あくまでもそれは遊びの一つなわけです。一時期「名人」なる存在があったけれども、プロアスリートと一般プレイヤー/視聴者のような関係ではなく、ビジネスが生まれることもなかった。

その後、国内外におけるゲーム業界の動きが色々あって、欧米では「ゲームはPCで遊ぶもの」みたいな根付きがあって、そこにローカルエリアネットワークやインターネットが現れてネットワークゲームやオンラインゲームが生まれたり、韓国ではネットカフェ(PC房)で大勢でゲームを楽しむ文化が生まれたり、日本ではゲームは3DSやスマホで一人で楽しむものになっていったりした。

 そういった状況下で盛り上がってきた海外のeスポーツ、当然日本にも進出したいし、日本のプレイヤーも遊びたいし、日本のメーカーは気が気じゃないわけです。しかし日本には景表法があり、当該ゲームメーカーが自社のゲームタイトルに関する大会で高額賞金を出すことは出来ません。そうなると法改正を望んでいく動きが出てきてもおかしくないけど、改正されると黒船が乗り込んできて日本のゲーマーがみんな飛びついてしまい、国内ゲームメーカーは一網打尽にされてしまうかもしれない。そうなっては困るので、JeSUという団体を作って、「国内でプロゲーマーになるにはウチ通さないとダメよー」「日本では高額賞金出せないから、契約して労務報酬という形で支払うしか無理よー」という既成事実を作ってしまいたかった。名前を連ねていないビッグネーム、すなわち任天堂・SONYらが、PC中心になると自社のハードが売れなくなるかもしれないので、eスポーツ普及は後押ししづらいから、とりあえず静観している状況で。もしかしたら水面下で、法改正されないよう動いているかもしれないけど。

景表法絡みで言うと、第三者がスポンサーとなって大会を開催し賞金を出すのはOKなのだけど、eスポーツ自体の地位が、長々と書いてきたように(日本では)低いものなので、ようはビジネスにならない。また、JeSUメンバーに電通の名前があることから推測すると、この方法についても押さえに来ているとも思えます。

先日、JeSUの説明会プロゲーマー梅原氏主催の「ゲームと金」という座談会がありました。てっきりeスポーツや日本のゲームビジネスについて議論されるものと思っていたら、特定の格闘ゲームだけが上手い人たちによる雑談と、JeSU役員による通り一遍の説明だけ。せめて格闘ゲーム以外のゲーム(特にマルチプレイ対応のネットゲーム)にも明るく、かつゲームプレイだけじゃなく国内外のゲーム業界に明るい人達ばかりだったら、実りのある座談会になったと思うのですが。あれ見て「よくわかった!」等と言ってる方々は、上で長々と書いてきた「日本独自のゲーム文化」で満足出来ているのでしょうね。別にいいんですよ、それで満足ならば。日本でeスポーツが普及しようとしまいと、ガラパゴスであろうと、満足ならば。

仕方ない面もあるとは思います。事実として、日本のプロゲーマーは格闘ゲームくらいでしか食えていないわけですから。分かりやすいですしね、格闘ゲーム。柔道とか剣道と同じで、1vs1で、勝ち負けを決める。世界的な潮流となっているLoL等のチーム対戦のような、連携とその達成感を、プレイする側も、観る側も味わうという文化は、日本には馴染まないんでしょう。これも仕方ない。

仕方ないけどー……それじゃ僕は満足出来ない。
そう思って書こうとしたのだけど、未だに整理出来ていない。

格闘ゲーム以外にも、ソロゲーム以外にも、面白いゲームは沢山あって
それらは自分で遊ぶのも楽しいし、華麗なプレーを観るのも楽しい。
プレイヤーたちの喜びを一緒になって喜ぶ、という楽しみ。
サッカー日本代表を声を枯らして応援するような、あの一体感。
それがすぐそこまで来ているのに、さまざまなよういんで
日本ではブレイク出来ないってのは、実に勿体ないと思う。

最終的に金がついて回るのは、当然というか、もっと推進していい。
ゲーム自体がメーカーによる商品なんだから、そこに帰結するのは当然。
ただ、メーカーと、業界と、スポンサーと、プレイヤーやコミュニティが、うまいこと繋がっていけばよいだけ。日本独自の方式でも構わないので、eスポーツの健全な発展を願います。

 最後にもう1点だけ。

JeSUおよびプロゲーマーは、座談会でも見受けられたように、特定の格闘ゲーム以外は見ていないし、国内外のゲーム業界全体も見ていない。「見えていない」が正しいのかもしれないけど、仮にもIOCに日本を代表する組織として手を挙げようとしているなら、それではダメじゃないの?
というか、海外のビッグタイトルが乗り込んでこようとしている(実際には既に足を踏み入れてはいる)のに、そうなると自分たちの地位や収入も危ういのに、危機感はないの?

梅原氏から事前の仕切(回し)があったのかもしれないけど、その割に梅原氏は「そんな話題どうでもいいし、(既に地位と収入のある)自分には関係ない」といった様子で、もう何なのこの集まりは的な感想しか持てなかった。
文字起こしをしている方がいらっしゃったので読んでみたけど、やっぱりねえ。「ドラクエはeスポーツか?」なんて質問が出ている時点で。それを誰もおかしいと思わない時点で。
実に幼稚でした。

幾つか感想文や想いを書いてらっしゃるblogを見かけたのでリンクだけ。
『ゲームと金』 俺たちは雰囲気で仮想通貨をやっている
ゲームと金の感想 MimimiMTG みみみ

ITmediaの記事も。
プロライセンス制度、「消費者庁と相談して決めた」 eスポーツ団体の見解とプロゲーマーの思い

改めてITmediaの記事を読んでみたけど、梅原氏には失望しかない。
長く第一線でがんばっているということは尊敬するけれども。
「名選手=名監督」ではないから、仕方ないけれども。
せめてオフラインで開催すればよかったのになあ……

(追記)

 じゃあ、日本でeスポーツが文化として根付くためには、どういう形であればよいのか。何をすれば良いのか。そのへんまで考えて述べないと、面白くないことに気づく。

ある人は、兼業ゲーマーが良いのではないかと言う。本業で勤めながら、兼業でプロゲーマーとして活躍するわけだ。そうすれば活躍できなくなった後も安心して生活出来る。実業団所属のスポーツ選手のような形だと、なお良いかもしれない。

JeSUのプロライセンス制度をそのまま継続する。これはこれでアリだと、自分は思っている。ではどうして異を唱えているかと言うと、一方で「プロゲーマーになって賞金を獲得しよう!」と喧伝しつつ、実際はそうではないこと。また、それを認めつつ、一向に賞金云々を訂正しないこと。それらに尽きる。不誠実だと思う。これは、既存のプロゲーマーも、一般プレイヤーも含めて、馬鹿にしているとさえ思う。相変わらず「ゲームは子どもの遊び」「プロゲーマーなんぞマトモな職業ではなく目下の存在」という価値観が、組織側や日本の業界内では横行しているのではないか。

そうなると、やっぱり黒船に期待したほうがいいのかな、と思えてくるから悲しい。他に何か良い案はないものか。

0 件のコメント :

コメントを投稿