グイン・サーガ 再読と続刊と

「その作品は異様であった」

記念すべき第1巻の書き出しに擬えると、まさにこんな印象だったグイン・サーガとの出会い。出会った時には既に30巻ほど出ており早くも大作だなぁという印象だったが、全100巻予定と聞いてまさに異様としか表現しようがなかった。しかもお一人で書いているという。ホントに終わるのか?と思ったのは僕だけではなかろう。

当時は既刊分(30巻くらいだったかな)を一気に読み、新刊が出るたびにちびちびと読み進めていたが、60巻~?ぐらいで断念した記憶がある。記憶はかなり薄ぼんやりとしていて、いったいいつ何処まで読んでいたか定かではなかった。それがこの度、改めて既刊全巻(外伝も!)が手に入ることになったので再読することにしたのだ。

改めて触れたグイン・サーガは、若かりし頃に読んだそれと同じものであるにも関わらず、全く異なる印象を僕に与えた。これは、なんて、面白いのだろう!
心のなかには(長くなるので割愛するが)イシュトへの愛しか残っていなかった僕に、数々のキャラクターが飛び込んでくる。物語の展開も、ああこうだったよなと振り返りながらも、細かな描写に息を呑んだ。栗本薫の究極の筆致。

それが60巻ぐらいまで進んでくると、かなり記憶が途切れてきて、ところどころ憶えていないエピソードが出てきて、次第に憶えているところのほうが少なくなってきた。なんとなく、グインがアモンに会って……みたいな話は読んだことあるような無いような……というあたりで、もう完全に知らない話になっていた。もはや再読ではなく新読(?)である。こうして僕は新たなグイン・サーガに出会ったことになる。

そこからは当然、何もかも知らない話。唯一知っていたのは、栗本先生は既にいないということと、続きを他の方が書いているということだけ。その「続き」に至るまでの道のりは、栗本先生の命を文字通り削って描かれたものだが、読んでいると少し引っかかるところが出てきた。

様々な人物の長い長い独白、ともすればテンポが悪い等と言われた掘り下げ描写が増えたことは、さておく(好き好きあろうし)。そこではなく、なんとなく辻褄が合わないシーンが増えてきたように思ったのだ。これは以前から、グイン・サーガにはその世界観に似つかわしくない(ありえない)語句が使われていたりする等で指摘も多かったところだが、明らかに「あれ、これ直前のシーンと矛盾してない?」と思ったりしたのだ。その原因は定かではないが、もはやチェックする余裕もなかったのかも……と寂しく思ったり。

続きを書いているお二人の部分についても、そういった辻褄が合わないシーンが散見される。お二人それぞれで食い違う点があったり、栗本版と齟齬が生じていたり。キャラクターの性格が違ったり(●●はこんなことしない!とか)、突飛な展開を見せたりするのは、もう違う人が書いているのだから多少は仕方ないと思うし、それはそれで味だと思う。けれど、不整合が生じているのは、そもそも作品としてどうかと思うので、そこは修正されていくといいと思う。

実は再読する前に、宵野版か五代版かは忘れたけれど、続きを別の方が書いていると聞いて少しだけ見てみたのだ。その時に「あ、この感じなら受け入れられそうだ」と思ったのも、再読の理由だったりする。それでまぁ今度はちゃんと読んでみたのだけども……宵野版は当初、独特な表現や言葉遣いが悪い意味で目についていた。それが数巻を経て、今はしっくりきているのは修正されたというか洗練されたのかなあと思う。五代版はそこまでは思わなかったが、歌詞が織り込まれている等は独特だなーと思っていたら、徐々に減ってきたので同様に修正されたというかグイン・サーガらしさが板についてきたのかしら、と思ったりしている。

もともと栗本版は一部に見られるような長い長い独白や記憶の底に沈むようなシーンよりも、丁寧な描写が特徴だったように思う。これは再読して改めて気づいたことなのだけども。続のお二人は当初はグイン・サーガの妖しい雰囲気を(お二人の趣味もあろうけど)出そうとされていたのが、本来の栗本薫的なグイン・サーガに立ち返ったと言えるかもしれない。や、そういった妖しい部分もまた魅力なんだろうけども。

ともかく本編は既刊140巻を全て読み終えたので、これから外伝に取り掛かるところ。外伝1巻の「七人の魔道士」は昔読んだ時はクエスチョンマークが10個くらい並んだものだが、135巻くらいまで読んでから再読したところ、ああこういうふうに回収したり活用されたりしたのねーと納得出来た。いや、未だに残ってる謎はあるんだけども……そのあたり、誰かと語り合いたい!と思ったりします。誰かいませんか。

誰かいませんかといえば、グインのミュージカルって観たことないんですよね。「マグノリアの海賊」を特に観てみたかったのだけど……誰か……

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