マイナンバーと個人番号カードと軽減税率と財務省案

2015年9月9日水曜日

ICT

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なんかもうヒドいタイトルですが、まぁそういう話です。昨日の話の続きというか自己補足というか。

まず私自身、マイナンバーについてのルールと、マイナンバーを活用するための個人番号カード(昨日は、また一部報道では「マイナンバーカード」と呼称していますが正式名称ではありません)についてのルールを混同しているところがありました。

マイナンバーについては、総務省の紹介サイトで大体把握出来ると思います。しかし個人番号カードについては、どのように利活用されるかまだ決定していないところが多く、上記の紹介サイトには詳しく記されていません。はっきりしているのはFAQの「Q3-8 個人番号カードは、何に使えるのですか? 通知カードとどう違うのですか?」に記されている程度でしょうか。一応、法律としてはこのようになっていますが、決定している話しか記載されていません。もう1つ、こちら(PDFファイル)の第18条にも記載がありますが、具体的な内容はありません(具体的に出来ないから、とも言えますが)。

しかし、想定されている内容は公開されています。これが今回の、個人番号カードを軽減税率対応に活用しようという話に関わってきます。

個人番号カードの普及・利活用について(PDFファイルです)

この資料の3ページ、右下にある「(2)ICチップの空き領域(アプリ)」の部分ですね。ここを活用しようというのです。具体的には財務省案(の報道)を見てみましょう。

消費税の軽減税率 財務省案の内容は

個人番号カードに搭載されたICチップの空き領域に、PDF資料の17ページ目から書かれているようなアプリケーションを格納した上で、上記報道にあるような情報を書き込んだりしようという話です。

さて、(昨日みたいな話になりますが)実際にはどうなのでしょうか。報道内容を引用しながら見ていきます。ただし、これは現時点での想定に基づくものですので、実際に法整備されたり仕様が定まるまでは何とも言えません。あしからずご了承ください。


軽減税率の対象となる品目は外食サービスを含む「酒類を除くすべての飲料と食料品」を基本としています。
消費者は買い物する際、いったん10%の消費税を支払いますが、その後、対象品目については増税分の2%分について還付を受けられる仕組みです。
対象品目が具体的に書かれています。昨日の話で、小売りチェーン店は飲食料品以外のものも販売しているので、それらは分けてカウントしないといけない旨を書きましたが、更に酒類も分けないといけません。POSシステムの商品マスタ上で、1アイテムごとに品目を定めて、品目ごとの税率を設定出来るようにしないといけませんね。
消費者は買い物したあと、レジなどで、この「個人番号カード」を専用の読み取り機にかざすと軽減対象の品目について、消費税の増税分、2%に相当する「軽減ポイント」を取得できます。
POSシステム上で分けてカウントされた「酒類を除くすべての飲料と食料品」について、その合計額に対して算出された消費税額の2%分が何ポイントあるか、というデータを個人番号カードに書き込んでやらないといけません(正確にはデータを受け渡す、でしょうか)。当然POSシステム側は、ICチップに格納されたアプリケーションの仕様に則ったデータ構造でデータを渡してやらないといけませんね。
ポイントの情報は「個人番号カード」に搭載されているICチップに記録され、レジなどの端末から政府が新たに設置する「軽減ポイント蓄積センター」にオンラインで送られ、蓄積されます。
ここがちょっと分からないのですが、上で引用した「専用の読み取り機」にかざした時点で、この処理まで行われるのでしょうか。それともまた別の端末&回線があるのでしょうか。このあたり、今後の話を待ちたいところです。
政府は「個人番号カード」を使うものの、レジなどの端末にはマイナンバーのほか、名前、住所、性別、生年月日などの個人情報は読み取らせないようにするとしています。
ポイントの付与にはマイナンバーも個人情報も必要ありませんからね。ここが混同していた部分の1つです。 小売チェーン店(事業者)側が行うのは、個人番号カードに対してポイントに関するデータを渡すだけなので、マイナンバーに関するルールとはまた別なルールに従うことになります。

付け加えると、懸念されているような「いつ、誰が、どの店で」という情報は、お店側は取得しませんし、個人番号カードに付与する必要もないわけですね。「いつ」については付与する必要があるかもしれませんが……
たまった軽減ポイントや、還付可能な金額については消費者が専用のサイトで確認できるようにし、還付を申請すれば、登録した口座に振り込まれる仕組みです。
 ネットが使えないような方はどうするのでしょうか。また、口座を持っていない人もいますよね。そのあたりは自治体でフォローすることになるのでしょうか。
ただ、この制度を施行する時期についてはマイナンバーの「個人番号カード」の普及の見通しや、個人情報保護や情報セキュリティ対策の強化、さらには事業者や行政側の準備などを見極めながら検討するとしています。
 消費税率の10%への引上げは待ってくれないのですが(ただでさえ延期されたというのに)、こんな悠長なこと言ってていいのでしょうか。個人的には増税には賛成(というか、やむを得ない)の立場ですが、一方で軽減税率なども考慮すべきだと考えていますので、やることはやる、という姿勢を期待するものであります。



しかし、9月3日に公表されたマイナンバー(社会保障・税番号制度)に関する世論調査(平成27年7月)を見る限り、法制度や利活用の整備は勿論ですが、啓蒙をもっと進めないと厳しそうですね。胡散臭く見られないエバンジェリストの登場が待ち遠しいです。

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