SI企業のボーナスと人月計算

IT業界の中でも、いわゆるSI業界に属する企業に入社して6年、色々とSI業界やSI企業について見えてきたこと・思うことが出てきた。
特にこの「人月計算」というのは前職までは(良いか悪いかは別にして)関わったことがなかったので新鮮だったのだけど、リーマンショック以降のSI業界/企業の落ち込みと、この人月計算というものは無縁ではない気がしたので思うところを書いてみる次第。

人月計算とは、技術者1人あたりの月単価を定めて、対象のプロジェクト(システム開発など)を、何人が何か月かければ完遂出来るか、という計算に基づいて見積もること……と思う。(もし違ったら、そう仮定する)
一般的に中小のSI企業だと、人月単価は80万とかだと思うので、3人が6か月かけるとすると、80万×3人×6か月=1440万となる。
この80万には、技術者の給与、その他かかわる人員(営業や管理職や総務経理など)の給与、会社の経費(事務所費、光熱費、通信費、設備費など)、会社の利益(新規投資したりプールしたり)が含まれる、と思う。

現在、不景気と呼ばれる経済情勢によって案件自体が減っていたり、あったとしても以前ほどの価格で取れなくなっている。前者についてはBtoBを中心軸にしているSI企業の急所だと思うのでここでは割愛するとして、後者については、前述の計算に基づくと、人月単価を下げるか、かかる人数を減らすか、かかる日数を減らすか、しかない。しかし1人の技術者が決められた時間に出来る作業には限度があるので(労基を無視してサービス残業で働かせるとか、技術の優劣による差はさておく)、そうなると人月単価を下げざるを得ないはずだ。

人月単価を下げると、どうなるか。その中に含まれる要素のいずれか(もしくは複数)が減ることになる。しかし、そうそう給与は下げられない(それこそブラックだ)ので、企業としては経費削減に走ることになるのだろう。それも限度があるので、ではどうするかというよ、会社の利益から支払われるはずのボーナスが減ることになるんじゃないだろうか。ボーナスについては人件費にあらかじめ組み入れられている企業も少なくないだろうが(夏冬に2か月分ずつ出すとして、16か月分の給与として考慮してしまうなど。もしくは年俸制とか)、利益に応じて額が決まる企業も多いだろう。そういった企業は、景気が悪くなればボーナスがまず減っていく。

この考え方が正しいとすると、SI企業が再び満足いく額のボーナスを支払うためには、より効率的な開発手法を編み出して、かかる人数や日数(工数)を減らすとかしかないだろう。もしくは、いわゆる「付加価値」を上乗せすることが出来れば単価を高めることも出来ようが、いずれにしても開発手法なり付加価値なりの、それらの工夫をするための投資すら出来ない状況だから、これはもうジリ貧としか言えないのではないか。てっとり早く、そういうことが出来る人材を引っ張ってこようにも、既存の社員以上の給与が支払えるわけもないので、やっぱり無理。もう無理ー!

こういった「SI企業はオワコン」的な話、リーマンショック以降に目につくようになったけど、実は10年くらい前から述べられてるようで。良い時もあれば、悪い時もあるよ……ではなく、立ち上がった時期があって、良かった時期があって、今は衰退していってる時期なんだと思う。SI業界というもの自体が。企業それぞれはそれぞれの努力でいかようにも出来るだろうけど、SI業界にしがみついてる限りは、どうしようも無いだろう。いわば「緩慢な自殺」の状態だとすら思う。死にたくない人は、はやく逃げ出したほうがいいよね。もう逃げることすら出来ない人は、どうするのだろうね。逃げ切るつもりなのかなぁ?

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