山の記録(4) 笠形山

2010年1月16日土曜日

t f B! P L
朝から雪が降っていた。
北の空は灰色に染まり、どこまでが空で、どこまでが山か区別がつかないほどだった。
そんな中、山に行こうなどと馬鹿なことを言うものもいたものだ。せっかくの休みなのだからといって、無謀にも未体験の冬山に登ろうというのだ。

しかも、今日は初めてとなる雪彦山に登ろうと、前の晩から考えていた。さすがに初めての山に、しかも冬の雪の最中に登るのはどうだろうと自分でも考えていたが、普段よく登っている山々に比べて危険が多いと言われる山なので、家人が止めてくれたこともあって断念した。山は逃げない。

ただ、それで今日は山は止めだ、とはしたくなかった。やはりどこか歩きたかったので、近頃集中的に登っている笠形山に向かった。危険な箇所はほとんどない山なので、仮に雪が多くなっても問題ないだろう。

僕は山に登るたびに、自分なりに目標や課題を設定している。笠形山にも今回で4度目となるが、今までの課題は以下のとおりだ。

 1回目:山頂に立つ(登ったことがなかったので、集団に混ざった)
 2回目:1人で山頂に立つ(1回目とルートは同じ)
 3回目:異なるルートで山頂に立つ(特別難しいルートではない)
 4回目:更に異なるルートで山頂に立つ

これら課題に加えて、新しい山用具のテストや実践、使えそうなもののテスト等も毎回何かしら行っている。今回は、先日の城山でテストしたダブルストックの投入と、家で見つけた厚手のウインドブレーカーというのかジャケットというのか、そういうものが山で役に立つのかのテストと、スノーボード用グローブの転用テストだ。

10時半頃、瀬加の駐車場に車を置いて、装備を整えて仙人滝の登山口を目指した。雪がちらちらしていたので、頭には耳も隠せるMILLETのフリースの帽子、手にはBURTONの薄手の起毛グローブで防寒とした。ちなみに服は、上には吸汗発熱素材の長袖シャツ+マイクロフリース+薄手のフリース+前述のジャケット。下には裏地付ナイロンパンツ+mont-bellのゴアテックスロングスパッツという構成。靴下はmont-bellの化繊の厚手のもの、靴は安売りだけど一応防水透湿のトレッキングシューズだ。

登山口に入り、林道を歩く。どうやら先に歩いた人がいるようで、2人分の足跡が薄く積もった雪に残っていた。おそらく滝が凍ったのを観に行ったのであろう。前日も、グリーンエコー笠形側から登るとある滝には、多くの人が集まっていたようだ。足跡をたどって、同じように林道を遡行する。林道から山道に入るあたりは水が流れている箇所があり、それが凍っていたため、若干滑る場所があった。雪の下で凍っていると分かりにくく危険だ。

山道は特に問題がない。滝までの途中に、大きな岩が一面となっている場所がある。あちこち眺めてみても、どうも登った形跡はないようだ。このあたりでクライミングとなると、やはり雪彦山なのであろうか。その先にはいよいよ仙人滝である。時間にして、駐車場から約1時間程度経過していた。

先月訪れた際も若干は凍っていた滝だが、今回はそれよりも少しは氷が増えているようだ。それでも全面が凍るには程遠く、まだ少しの冷え込みが必要と思われた。滝の横の山道を登ると、滝の上側に廻れる道がついているが、雪に覆われた石の数々を越えなければならず、滑ると危ないのでやめた。滝も逃げない。

しばらく登ると、ほうらい岩~鹿ヶ原方面と、笠形神社方面に向かう分岐に出合った。前回はほうらい岩方面に進んだのだが、この笠形神社方面への道は、何かに記載されていたのだが、分かりにくい箇所があるとのことだった。実際どの程度のものか分からないし、分からなくなれば引き返せばよいと考え、そちらに道をとった。

しばらく歩いていくと炭焼きの址があった。道々にはテープが巻かれた木があったり、登山道であることを示す看板があったりと、そう迷いそうにはなかった。ただ、何箇所かテープを見つけにくい場所があったり、堆積した落ち葉で足元が分かりにくい場所があったので、歩かれる方は気をつけていただきたい。

40分程度歩いた頃、笠形神社から笠の丸に向かう道の途中に合流した。ちょうど、神社から登っていって、見晴らしの良い場所がある箇所の少し上、丸太の階段が始まる直下あたりだ。山頂まで進むかどうか少し思案した後、天気も持ちそうだったので登ることにした。今日実践投入したダブルストックは、丸太の階段などでも随分役に立ったと思う。ただ、少し左のかかとに違和感を覚えだしたのはこの頃だった。

気が遠くなるほど丸太の階段を登ると、笠の丸だ。ここまで来ると、いよいよ山肌は雪に覆われていた。冬山には登りにきたが、雪山に登るつもりはなかったので、少々面食らった。先日mont-bellの店でアイゼンの相談をしたのだが、やはり買っておけばよかっただろうか。ここでアイゼン&ピッケルという冬装備の男性とすれ違った。

一息入れた後、山頂に向かった。このあたりはもう完全に雪山といった風で、ダブルストックをついて歩く姿が、まるでスキーをしているようだった。思えば、スキーをやっていた頃も、滑るのは勿論、歩くのも結構好きだったから、その感覚が残っていたのかもしれない。そう思うと俄然楽しくなって、張り切って歩いた。しかし雪のある急斜面は先に歩いた人が踏み固めていて滑りやすくなっており、アイゼンの必要性を実感した。

山頂に着くと、4人組、2人組、単独が数名と賑わっていた。過去2回の山頂はいずれも早朝だったので、自分以外に人がいたことはなかったので、人が少なくなるまで落ち着かない時間を過ごした。ようやく静かになってから、持参したテルモスのコーヒーを飲み、パンや菓子の昼食を摂った。自分より後から登ってきた男性と少し話をした。この時期の雪彦山は、南側を歩くだけならよいが、北側に出ると鎖場が凍結して危険ということだった。やはり家人の判断は正しかった。仕事も家庭もある身での山行だから、少しでも心配は減らしてやらねばならない。少しずつ理解が得られるよう、努力を積み上げたいものだ。

ここまでの登りでは随分汗をかいていたのだが、一番上に着ていたジャケットが透湿性がないものだからか、ジャケットの下のマイクロフリースやインナーは着ていられる状態になかった。インナーの替えは持っていなかったので、マイクロフリースを脱いで、途中で脱いでいた薄手のフリースに着替えた。リュックの中にはもう1枚フリースが入っているので(当然カッパもある)、寒くなっても大丈夫だろう。

雪雲が出てきた頃、山頂を後にした。山頂から笠の丸まで、再びバックカントリースキーの雰囲気はこんな感じかしらと一人想像しつつ、さくさくと歩いた。帰路はノーマルルート、丸太の階段をひた下りる。ストックで随分助かってはいるものの、膝への負担が大きい場所だ。笠形神社から先の林道はコンクリートで舗装されていて、これがまた歩きにくい。未舗装のほうが歩きやすいと思うのは僕だけだろうか。

出発して約4時間半、駐車場に帰り着いた。下りはあまり汗をかかず、着替えの必要はなさそうだが、やはりジャケットの裏は通り抜けられなかった汗がたくさん付いていた。防水性はともかくとして、透湿性があり防風性のあるジャケットは必要だと思った。あと、スパッツの下半分の裏にも水が随分ついていたのが気になった。ゴアテックスがラミネートされたのは、切り替えしの上部分だけなのだろうか。ナイロンパンツのスパッツから少し上の部分も濡れてしまったので、パンツ自身の防水性も考えなければいけないかもしれない。

気になっていた左足のかかとは、靴擦れとまでは言わないまでも、水ぶくれ状態になっていた。装備・身体共に、まだまだ課題の多い我が山行である。

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