eスポーツと賞金と景表法の話

2017年7月20日木曜日

Game

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先日、日経新聞電子版に以下のような記事が掲載され、改めて注目されているテーマについて整理してみます。
隆盛「eスポーツ」に法の壁 賞金たった10万円

なぜ10万円なのか?
eスポーツ、言い換えると「ある特定の電子ゲームを用いた競技および大会」について、大会運営者が参加者に賞金を支払う場合、景表法(景品表示法)が適用される……というのが日本の法律です。
この景表法がどういう理由で適用され、なぜ10万円なのかは、消費者庁の以下のサイトが詳しいと思います。
景品規制の概要

……が、分かりにくいので要約します。

「顧客を誘引するための手段として」
「事業者が自己の供給する商品・サービスの取引に付随して提供する」
「物品、金銭その他の経済上の利益」
のことを「景品」と呼びます。eスポーツで言う賞金のことですね。

この景品をもらうために何らかの条件や制限がある場合、「一般懸賞」に該当し、景品の限度額が上限10万円になります。eスポーツで言うと、条件や制限=対象ゲームの購入ということになります。対象のゲームを購入し練習しないと大会で入賞し賞金をもらうことが出来ませんからね。

もし、対象ゲームを購入しなくても、練習して入賞出来る場合があるとしたら。この場合は「オープン懸賞」に該当し、景品の限度額に制限はありません。基本無料で提供されるゲームの場合は、こう判断されるようです。

このような状況について、海外では云々とか、法律が時代にあっていない等の意見があるようです。しかし、景表法の目的として、上記のサイトにあるように「事業者が過大景品を提供することにより消費者が過大景品に惑わされて質の良くないものや割高なものを買わされてしまう」「過大景品による競争がエスカレートすると、事業者は商品・サービスそのものでの競争に力を入れなくなる」という、消費者保護という観点があります。eスポーツで言うと、大して面白くもないゲームを賞金目的で購入させプレーさせたり、ゲームそのものではなく賞金で他社と競うようになるのは健全でない、ということですね。

このあたりについて、カジノ産業の研究家で国際カジノ研究所所長の木曽崇さんが色々とツイートされており、以下にまとまっています。
日本においてゲーム大会が適法なeスポーツと認められるには?消費者庁に問い合わせた結果

特に注目したいのは以下の2つのツイート。



これはまさに消費者庁が危惧している部分だと思います。

では、どうすればいいか。
そのあたりについても上記まとめに記載がありますが、大会を沢山実施して実績を作って発言力・影響力を高めていくとか、第三者主催の大会を工夫してみるとか。前者はおそらく長い時間がかかると思いますので、現実的には後者ですかね……

例えば、複数のゲームメーカーが共同で大会主催&運営専門の会社を立ち上げて、そこに一本化するとか。資本関係のあたりが影響してきそうにも思いますので、別途スポンサーつける必要はありそうですが。ゲームメディア等が主催する形がベターにも思いますが、実際の動きはどうなんでしょうか。

いっぽうで国の動きとしてはカジノ合法化・カジノ民営化などの話もあり、それらがOKなら景表法をもう少し緩めてくれても……と思わなくもありません。賭博と景品では話が違うと言われればそれまでなのですけども。

来年、日本でEVO JAPANという大きなゲームの大会が開催されます。この大会は、EVO Japan 実行委員会有限責任事業組合という団体が組織され開催されるそうで、要するに第三者なわけですね。この大会で(第三者主催ということで)大きな額の賞金が出るとしたら、それが今後の試金石になるかもしれません。

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