山の記録(22) 氷ノ山・鉢伏山 通称・ブン廻しコース

2011年7月19日火曜日

山 縦走

t f B! P L
 5月の六甲(風吹岩~荒地山方面)以来、しばらく山から遠ざかってしまっていた。
体調を崩したり、休日出勤が続いたり、家族で出かけたり、そんなことの積み重ねで7月になってしまった。
ボルダリングジムには通っているが、山を歩くことは基本的には別だ。このままでは8月になってしまう……そんなことを考えていたところ、目の前に3連休が。どうやら天気にも恵まれそうなので、幾つかプランを立ててみた。

まず、トレイルラン。良いコースをあまり知らないことと、低地は暑いだろうということで、何度か歩いたことのある生野高原(達磨ヶ峰~フトウヶ峰~段ヶ峰)を検討してみた。距離は往復10kmくらいと走るには短いが、2か月ぶりの山であることと、流石に夏なので十分な運動になるのではないか。

次に、沢歩き。「沢登り」と言わないのは、まず沢が初めてであることと、単独であるため、沢がどんなものか足を踏み入れて体験してみよう、というレベルのためだ。予定した沢は自宅からほど近く、沢沿いに登山道もあり、その日の天候やコンディション次第でどうとでもなる安心感がある。

そして、長距離縦走。近隣には縦走コースが幾つかあるが、もっとも近い千ヶ峰~笠形山ルートは、千ヶ峰のヒルに怯んで断念。ふと思いついたのは、氷ノ山から鉢伏山を歩く、通称「ブン廻し」コース。氷ノ山なら標高も高く涼しいのではないか。そして鉢伏高原は草原のため風が吹き抜けて爽快なのではないか。



 そんな選択肢を用意して、いよいよ行動前日の土曜日になって、最後のプラン・縦走に決めた。調べるに、自己最長距離&時間の行動が必要だが、途中にエスケープルートが幾つかあり、厳しくなったら敗退すればいい。2か月歩いていないので足の力は衰えているだろうし。ジム通いで上半身は強くなっているかもしれないが、岩場のないコースなのであまり関係ないだろうな。天気が良いと暑いだろうから水は十分に用意せねば。そう考えながら準備をし、当日を迎えた。

※以下、ルートや通過時刻などはヤマレコを参照されたい(写真も少しあり)
http://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-122153.html

 午前3時起床。4時に自宅を車で出て、5時半頃に福定親水公園に到着。日が昇って暑くなる前に標高を稼いでしまおうという魂胆。予定ルートは東尾根登山口まで舗装林道を歩き入山し、神大ヒュッテを経由して氷ノ山山頂を通過、氷ノ山越えを経由して鉢伏高原に入って鉢伏山まで、その後舗装林道で親水公園に戻る、というもの。この時、福定にあるスキー場の駐車場に停めることも検討したが、登山ポストが親水公園にあることを知っていたことと、スキー場の駐車場から登山口までの道を知らなかったので、大事?を取って親水公園に停めた。身支度を済ませてポストに登山届を投函し、6時ちょうどに歩きだした。駐車場はキャンパーやハイカーで賑わっていた。

東尾根登山口には順調に到着。茂みの中に1台の折りたたみ自転車が。誰かがデポしたものだろう。単独で縦走を計画すると、どうやって駐車場まで戻るかが常に懸念事項となるが(複数人なら車2台で廻せるため)、自転車があれば随分改善される。購入を検討してみよう。さて入山、東尾根に乗るまでは日は当たらないものの延々丸太の階段が続く。舗装林道歩きがウォーミングアップとなったのか、まずまずのペースで登り切った。

稜線に乗ったところにある避難小屋前でしばし休憩。今日は水切れを起こさぬよう、プラティパスに水2L+予備1L、凍らせたスポーツ飲料0.5L、山専ボトルに氷を詰めたもの(0.5L程度)、保冷ボトルに氷を詰めたもの(0.5L程度)、100%オレンジジュース0.5Lの、約5Lを持ってきていたが、基本的に足を停めた際にはプラティパスの水を摂取し、ザックを下ろすレベルの休息時や、行動食を兼ねた弁当(焼き飯を作って持ってきていた)を口にする際に、スポーツ飲料の溶けた分や保冷ボトルの溶けた水を摂取、オレンジジュースは大休息時に山専ボトルの氷で冷やして飲もう、と考えていた。プラス、塩を含んだ飴を持ってきており、随時口に含むようにしていた。

5分程度休んだ後、東尾根を歩きだす。最後に歩いた昨年12月は逆回りな上に雪の時期だったので、記憶の中の様子となかなか噛み合わない。もっとキツい登りと思っていたところが大したことなかったり、またその逆だったり。山頂まで残り1.5kmの標識があるあたりから、周囲は雑木林から笹藪に囲まれた景色となった。

しばらく進むと大屋町の登山口からのルートと合流した。ここには神戸大学の施設である「神大ヒュッテ」があるが、営業しているわけではない、いわば避難小屋だ。少し休んでいると西宮から来たという男性が到着、しばし言葉を交わした後出発した。山頂までは古代杉などがあるが、これも冬の様子とは全然違っていて、足元など改めて注意しながら歩くこととなった。



 9時頃、氷ノ山の山頂に到着した。年配のパーティや夫婦で登ってこられた方などに交じって、ここでも休憩。さすがに1500m、晴れていても涼しい。これから歩く鉢伏山までのルートを眺めた。時間的には6時から歩き出したおかげで、まだまだ余裕がある。ゆっくりでも着実に進めば、きっとたどり着けるだろう。そんなに長く休むことなく、再び歩き出した。

氷ノ山越えまではブナ林などがあるが、何か所かでマムシをみかけた。幸い噛まれるようなことはなかったが、この山域ではツキノワグマと並んで注意すべき生物だろう。おそらく親水公園から布滝・地蔵堂・氷ノ山越えを経由して登ってきたであろう複数のパーティをやり過ごし、次第に強くなってきた日差しを気にしながら、まず順調に氷ノ山越えに到着した。ここにも多くの人が。昨年の5月に歩いた際はそんなに人が多かったようには憶えていないが、流石に夏の3連休か。しかしどうやら鉢伏方面に進むのは僕だけだったようで、歩き出すと再び静かな山となった。

赤倉山あたりの道は通行も少ないようで、笹が随分生い茂っており、(おそらく地元の方々によって)通行出来るように道沿いの笹は刈り取られていた。ところどころ林の中を歩いたが、このあたりから多くの時間を日に晒されながら歩くことになり、日差しや暑さが気になってきた。ここまでは通気性の良いMarmotのキャップを被っていたが、首元への日射が気になったのでTNFのGTXハットに換えて、今度は頭部の通気が気になったので再びキャップに戻して、その代わりFineTrackのナノタオルを挟んで日除けとした。以後下山までこの状態で歩くことになった。



 11時頃、ついに樹林&笹藪帯を抜けて鉢伏高原に入った。眼前にはスキー場のゲレンデが草原として広がり、鉢伏山も大きな姿になってきた。ここまでが登山ならこれからはピクニック気分、ボーナスステージだ。そんな気持ちで足を踏み入れたが、すぐにあることに気付いた。日陰が全くない……十分に水分は摂取しているし(渇きを覚える前には摂取出来ていた)、糖分や塩分も取れているはず(飴を食べ、弁当も半分くらいは消費していた)。しかし遮るものの無い真夏の日差しはあまりにも厳しかった。温度計を見ると30度を越えており、標高(1000m程度)を考えるとかなりの暑さだ。兵庫県南部で32度程度の予報の頃、北部では35度の予報がよく出ていたりするが、まさにその通りであった。兵庫北部の夏は暑い。冬は寒いのに……そう嘆いても仕方ない。なんとか足を前に進めつつ、休める日陰を探した。

しばらく進んで、ようやく休めそうな木陰を見つけて転がり込んだ。木といっても1m少ししかない低木で、間近に潜るように座ってどうにか膝下を除いて日陰の中という程度だ。ここで大事に取ってあったオレンジジュースを少し氷のボトルに入れて口にした。美味かった。生き返る心地がした。しかし暑さは当然変わらない。すこし休んで、再び歩き出すことにした。この時、折りたたみ式で良いので傘を持っていればと悔やんだ。聞くところによると、日傘の遮熱効果は高く、日なたより3~6度程度は涼しく感じられるらしい。上り下りの厳しいところでは手を塞ぐわけにはいかないが、平原なら問題なかったわけで、どうにも悔やまれた。全く日陰がなければツェルトを張って休む手もあったが、皆無というわけでもなかったので、頑張ってしまった、という背景もある。

また強烈な日差しの下をしばらく歩くと、スキーリフトの建屋が見えてきた。中は空洞でリフトは当然動いていない。近づくと風がよく抜けていて涼しそうだ。これ幸いと再び休憩、靴や靴下も脱いで全身をリフレッシュさせた。しばらく休んでいると鉢伏山方面からトレラン(のトレーニング中?)の男性が1人。暑さで倒れなければよいが。そして鉢伏山に登る集団を遠目に見ることが出来た。追いつくかどうか分からないが、支度をしてあと一息、と歩き出した。

鉢伏山までは一部で林を抜けるものの、やはり日なたをずっと歩くことになる。しかも丸太の階段が多く、足にも堪えた……が、なんとか目標としていた13時までに鉢伏山山頂に到着出来た。山頂ではゲレンデで遊ぶMTBの一団と、四国から来られたという年配の集団(若い頃はアルプスなど登っていたが高齢化と共に山は低くなってきた、とのこと)が休んでいた。日陰もなんとか確保出来て、大休止を取ることが出来た。ああ、ついにたどり着けた。事前にブン廻しコース(東尾根~氷ノ山~氷ノ山越え~高原途中まで)は13kmちょっとと案内で読んでいて、それプラス鉢伏山まで=15km程度と考えていて、7時間程度で歩ければ自分的には十分だろう、と考えていたが、東尾根登山口から休憩を含めて7時間少々で歩けたので、果たしてその通りになったわけだ。駐車場~登山口と、鉢伏山頂~駐車場までを含めると20km程度になるだろうか。過去最高で13km程度なので、この時点でもう既に自己最長は確定していた。行動時間も長く、しかも炎天下だ。達成感はひとしおだった。



 鉢伏山頂で弁当も全て食べ、オレンジジュースも半分程度は飲み、気持ちを新たにし、下山に取りかかった。しばらく下りると舗装林道に合流し、そこから再びゲレンデに合流、一直線に駆け下りると鉢伏高原の入り口だ。相変わらず暑さはハンパないので随時木陰で休みながら下りてきた。宿などあるため自動販売機がそこかしこに設置されていたが、駐車場までは持ってきたものだけでたどり着かないと計画倒れになってしまう……そう考えて冷たいコーラなどに目をそむけ、高原を後にした。

高原からは舗装林道を通る道と並行して下りる山道ともゲレンデともつかない場所をたどった。林道は道のり的に時間がかかりそうだったためだが、日当たりは山道のほうが良かったかもしれない。やはり暑い中をひたすら歩く。足の痛みや疲労はそこまで無いと思ったが、とにかく暑さでペースが上がらない。福定あたりに着いた頃にはかなり気持ちも萎えていたが、ここから親水公園までもう1.5kmほど歩かないといけないので、やはりスキー場の駐車場に車を停めておけばよかった……と改めて後悔。しかし、あと1.5kmで終わりだ、と自分に喝を入れて、高原を出てからしばらくしまっていたトレッキングポールを再び取りだして推進力として活用し、親水公園までなんとか歩き切った。

親水公園に着くと、沢山停まっていた車はほとんどなかった。皆涼しいうちに登山を終えてしまったのだろうか。下山届として登山届を複製したものに手書きで下山した旨を記してポストに投函、しばらく休んだ後に駐車場を後にして帰宅した。



 帰宅後水を確認すると、ハイドレーションに入れていた2Lはほとんど無くなっていた。ザックを下ろすような休憩時には目視確認していたが、あまり減った様子はなかったので、鉢伏山から駐車場までの間にもっとも消費したのだと思われる。一番暑い時間帯だったので意識的に多めに摂取したことも影響しているだろう。その他の氷なども半分以上は摂取してから帰着したので、やはり大量に持ってあるいて良かったと思う。万が一のことがあったら、場所によってはこれでも足りなかったかもしれないと思うと、水場の確認と共に、休める場所の確認も事前に必要だと思った。食糧は量的にはまず問題なかったが、帰宅後に体脂肪が結構減っていたようなので、ダイエットにはなったが、健康的にはやや問題があったかもしれない。

ルート的にはどうだっただろうか。逆回りのほうが暑さはしのぎやすかったかもしれない。実際、氷ノ山越えから鉢伏へ向かう道で2組のパーティとすれ違ったが、彼らはそう考えての行動だったかもしれない。しかし行程の最後に壮大な草原が、という楽しさ(といって良いものだろうか)とは引き換えに出来なかったので、これで良かったのだろう。また冬に縦走することがあれば、逆回りも検討したい。

など、そんな反省をしつつ、しかし鉢伏山頂で感じたような達成感を改めて味わいつつ、今こうしてblogを綴っている。これだけ歩くことが出来れば、当面の目標としている南北アルプスや八ヶ岳の縦走に一歩近づくことが出来たのではなかろうか。ともかく、今は健康と家族に感謝したいと思う。


■装備
帽子:Marmotキャップ(夏用)、The North Faith GTXハット(ゴアのハット)
上:タラスブルバ 速乾長袖Tシャツ
下:コロンビア 速乾超薄手カーゴパンツ
肌着:TNFボクサーパンツ(上半身は無し)
靴下:インジンジ COOLMAX使用5本指ソックス
靴:キャラバン GrandKing GK-68
手袋:モトクロス用グローブ
ザック:オスプレー ケストレル38
タオル:n-Litタオル、FineTrack ナノタオル
トレッキングポール:BlackDiamond トレイルコンパクト
その他:コンパス、ビクトリノックス、二万五千地形図、ツェルト、座布団、救急用具、サングラス等

■食糧
食糧:焼き飯(小タッパー1つ)、塩入り飴(20個程度、10個ほど消費)、非常食
水:プラティパス(ハイドレーション)2L、プラティパス1L
他:氷(サーモス 山専ボトル)、氷(キャメルバッグ 保冷ボトル)、凍らせたスポーツ飲料、オレンジジュース

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